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SOMPOホールディングスの取締役の責任 門多 丈

2024年04月02日
損保ジャパンのビッグモーターとの不健全な取引での不祥事は、損保ジャパンが顧客第一ではなく利益至上主義の経営姿勢であった、グループガバナンスと内部統制の不備があったことが背景にある。

SOMPOホールディングス(SJHD)の櫻田謙悟会長は3月で退任するが、子会社の損保ジャパン(SJ)が不祥事を起こしたビッグモーター(BM)との取引を拙速に再開したことについて「聞いていなかった」とコメントしている。櫻田氏はこの子会社の取締役でもあったのであり、このような企業経営上の重要な決定を「聞いていなかった」とすると、同氏の職務怠慢である。 

このような不祥事の後でも櫻田氏が取締役で留任することが、SJHDの指名委員会では当初は「視野にあった」との報道がある。実力者である同氏に対する忖度ではないか。まずは同氏が取締役として適切に行動したかを、厳密に審査すべきである。SJHDの社外調査委員会報告によると、SJの企業風土について「営業至上主義で顧客に損害(保険金の過剰支払い)を与えた」とある。グループ経営と内部統制上の責任を、SJHD取締役会は問われているのである。 

20226月の定時株主総会をもって、子会社であるSJは社外取締役を廃止した。親会社SJHD が主導した「廃止」だという。SJ 22年年初にBM の保険金不正請求に関する情報に接し、4 回にわたってBMの内部通報の情報提供者らと面談し状況を把握し、BMとのDRS(事故車の入庫紹介)を停止したタイミングである。その最中にSJの社外取締役を「外した」行動には唖然とするが、SJHDSJの経営には「臭いものには蓋を」の思いがあったのではないか。中核事業子会社の社外取締役がいなくなることに、SJHDの社外取締役がガバナンスや内部統制上の懸念を持たなかったのは問題だ。

※ 本記事は金融ファクシミリ新聞2024年2月27日号「複眼」欄に投稿したものです。


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