S.K.グリーン著「グッド・バリュー」を読んで 門多 丈
グリーン氏はグローバルな金融危機の今後に向けての教訓は、「信任と信頼」「持続的な企業価値の最大化」の重視であると強調する。この2つの概念は我々が取締役会やガバナンスのあり方を考える上でも示唆に富むものと思う。
会社法制部会の論点(2):企業統治の在り方 ~監査役会の監査機能 安田 正敏
監査役設置会社においては、監査役は取締役の違法な行為に対する十分な牽制機能をもっているが、経営者の行う経営の妥当性に関する監視を期待されていないという意見が多数です。したがって、この役割が期待される一定の独立性の要件を満たした社外取締役を義務付けるべきかどうかが重要な争点になってきます。
会社法制部会の論点(1) 安田 正敏
4月から現在までに法制審議会・会社法制部会において議論されたことをこれから数回にわたって概観します。これらの論点は相互に関連しており、議論を見ていく中でその関連を念頭においてみていくことが重要です。また、会社法はすべての会社に適用される基本法ですから、ここでの議論もそのことを念頭においてみていくことが重要だと思います。
リーマン破綻と社外取締役の責任 門多 丈
リーマン破綻に至るまでにも的確な判断によって危機を回避した投資銀行などもあった。このような判断ができるためには専門性だけではなく、企業のミッションを深く理解し、リスクにも配慮し知恵を働かせることが重要となる。今後の取締役会での社外取締役の役割を考える上でも役に立つと思う。
コーポレートガバナンス議論の迷走 田野 好彦
コーポレートガバナンス議論は、上場企業の株主の立場に立った議論とステークホルダー全般を視野に入れた議論に明確に区分し、前者については取引所のソフトローや金融商品取引法等に任せ、後者については産業文化の成熟を志向しつつ、会社法改正に結び付けていくということにしてはどうだろうか。
ガバナンス・インデックス 田野 好彦
新興国の市場のように高い成長性を売り物にすることができない先進国市場が海外の機関投資家の資金を呼び込むには、コーポレートガバナンスを充実させてローリスクであることを売り物にするしかない。日本でもそのような市場乃至ガバナンス・インデックスを作って、海外機関投資家にアピールしてはどうか。
マスコミは報道の自覚と責任を 門多 丈
先週「円高・ドル安 転機の兆し」との記事があった。今年の8月に急激な「円高」の動きがあった時の報道との、あまりの論調の違いに愕然とする。マスコミは近視眼的な報道に終始するのではなく、グローバルな構造変化も見据えた大局的な一慣性のある報道に務めるべきである。
形式論対実質論-社外取締役を巡る議論 安田 正敏
コーポレートガバナンスに係る外形的制度の整備に関する議論はできるだけ早く決着をつけ、それをどのように機能させ企業価値の向上に結びつけるのかということに早急に取り組む必要があります。
高い法人貯蓄率はコーポレートガバナンスの失敗? 安田 正敏
「高い法人貯蓄率はコーポレートガバナンスの失敗」という主張をどう受取るかによってコーポレートガバナンスを巡る議論も大きく変わると思います。
社外取締役のインサイダー疑惑報道について 安田 正敏
西友の一人の社外取締役(2007年当時)によるTOBに関するインサイダー取引疑惑が報道されましたが、この事件を「社外」取締役否定の方向に向けるのではなく、社内、社外を問わず会社役員がその責任の重さをもう一度かみ締め、統制環境を見直す機会にしていただきたいと思います。