社外取締役の評価について 後出 大
先日、某米系企業のガバナンス体制についての話を聞く機会を得た。当該社は一般的にもガバナンス体制がしっかりしている企業として有名であり、これをもって米系企業を一律に論じることはできないのだろうが、それにしてもいわゆる独立取締役が自らの役割を果す上でのコミットメントの内容の重さには改めて驚かされた。少なくてもいくつもの会社の取締役を掛け持ちできるほどの気楽なコミットメントではなく、わが国の社外取締役のあり方についても改めて考えさせられるものがあった。
補欠監査役 後出 大
補欠監査役を選任している会社が多いようだ。何らかの事情で監査役に欠員が生じ法定必要人数に満たなくなった場合に、臨時に株主総会を開かねばならないとすれば多大な時間と費用を要することになり、予め「補欠監査役」を選任しておくことは賢明な策といえるだろう。しかし、この「補欠」制度については考えるべき点が多々あると思われる。
経営リスク管理 後出 大
企業経営における内部統制の評価のためにエンタプライズ・リスクマネジメントが求められ、多くの企業でリスクの洗い出しやその対応策の構築にかなりのマンパワーを割いている。しかし、会社が本来的にリスクを前提として経営されるべきものであるとするならば、「経営判断」という言葉で進められる案件に対して、監査役の対応が必ずしも容易な場合ばかりとは言えないのではなかろうか。
内部統制と経済発展 後出 大
ヨーロッパの中世・近世の商業都市の社会構造を眺めてみると、幾つかの事例を比較対照することで、その経済的繁栄の秘密が垣間見られるようで興味深く感じられるケースがある。たとえばベネツィアとアムステルダム、この二つの都市を比較しようとすることは無茶な試みであるが、「内部統制」という観点からそれぞれの経済運営を俯瞰すると、現在の経済政策・企業経営のあり方にもなにがしかのヒントを与えてくれるようである。